2011年6月1日水曜日

恋について

インターネットは人類にとって空気なのだから当然のように電波っていうんですか、そういうあれはそこらじゅうどこでも飛んでいるべきだ、と主張して止まない私ですが、なかなかそうもいかずにインターネット様につなげる環境にはまだまだ希少性がございます。


アルメニアはWiFi完備のカフェ・飲食店が多いので(「ヤムヤムドーナツ」がお気に入り)、暇さえあればパソコンを持ち込み、ときたま他の客に「ヤパン? 一緒に写真撮ろうぜ!」と声をかけられて中断する息苦しい時間をのぞいては、コーラ一杯でえんえんとインターネットにつないで観光地の写真を見てそこに行った気になる、そういう日々を過ごしております。とはいえ、2011年にもなって「インターネットって……良いよね! おすすめだよね」ということが言いたいわけではなくて眼鏡をなくしました。


ヤムヤムで後ろ髪をひかれる思いでパソコンの電源をオフ。ところが2キロメートルくらい歩いたところで何かこう胸が締め付けられるような、いてもたってもいられないような、そんなせつない気持ちに襲われ、WiFiがつながるピザ屋の外でパソコンを開き、電波を盗みとる。5分間だけ接続したのちカバンにパソコンをしまい、宿へと戻ったのでした。あとから気づいた眼鏡ケース不法投棄。


貧乏がいけないのです。三井住友銀行の口座に潤沢な資金さえあれば、ピザのひと切れやふた切れどうということもない。なんならそっくりそのまま残してやったっていい。店内で悠々とつながりへの欲望を満たし、店員と「お口に……あいませんでしたか?」「アイ・ケイム・フローム・ジャパン。アルメニア・イズ・ナイス・カントリー!」などとちぐはぐな会話をしてから、机のうえをゆっくり見渡して忘れ物がないか確認して店を去る。もともと私はそのような注意深い人間ではなかったか? 


路上で人様の電波を掠め取る。犯行の一部始終は複数の人間に目撃され、ご丁寧に証拠まで残して立ち去る。そのような無能なこそ泥に育てた覚えは無いのだがな。たしかにお前とはキャッチボールを一回もやったことはないから野球が嫌いなのはわからんでもないが……という何もわかっていない父親の声が聞こえてきますがそういう問題ではなくて、たいして貯金もないくせにインターネットを愛してしまった、身の程知らずのこの恋が、眼鏡喪失事件の原因なのです。深夜に母親が泣いてるのがあなたの浮気のせいだって高校生になるまで気づきませんでした何もわかっていないのは私のほうでしたすみませんお父さん。



目が見えないのでついつい前置きが長くなりすぎました。眼精疲労が耐え難いのでいったん中断します。本題は「アルメニアで眼鏡を購入!」なのですが店員さんが微妙に英語できるっぽいのであまりおもしろい展開にならないかもしれません……

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